ご挨拶

京都府立医科大学整形外科のホームページにようこそ

整形外科は運動器の疾患を扱う診療科です。運動器とは身体を支え、動かすために必要な骨・関節などの骨格系とそれを取り囲む筋肉、それらに指令を出す神経系を含みます。脊椎・脊髄、骨盤、四肢を主な治療対象とします。京都府立医科大学整形外科学教室は1949(昭和24)年に開設され、初代 来須正男教授が就任いたしました。以来、第2代 諸富武文教授、第3代 榊田喜三郎教授、第4代 平澤泰介教授、第5代 久保俊一教授と受け継がれ、2020(令和2)年に私が第6代教授として就任いたしました。これまで引き継がれてきた診療、教育、研究の伝統を継続し、さらに発展させてまいります。

整形外科診療の重要性:すべての世代の健康を維持するために

運動器が障害されると、立って歩く、など自ら移動することが困難になります。すべての世代が自分らしい生活を維持し、健康長寿を享受するために運動器の機能を健全に保っていくことはたいへん重要と言えます。

超高齢社会の現在、典型的な高齢者の骨折で、寝たきりの大きな要因とされる大腿骨近位部骨折は、わが国において1997年の9万例から2020年には25万例に増加するとも推定されています。下肢関節障害に対する人工関節手術も年々増加しています。また、小児を含め若年世代が健康を維持することは、将来にわたって健全な社会を支えるという観点からも極めて重要です。

本学は、明治初期に府民の協力のもと一流の医療を提供することを目的として設置された伝統を今日まで受け継ぎ、「世界トップレベルの医療を地域へ」の理念を実践しています。当科でも、患者さんの満足を第一に、すべての世代の運動器の健康維持に貢献できるよう、関節疾患(股、膝、肩など)、足の障害、スポーツ障害・外傷、骨・軟部腫瘍、関節リウマチ、手・末梢神経障害、脊椎・脊髄疾患、小児疾患など整形外科各分野で一流の診療体制を整え、さらに発展させていきます。

充実した人材育成:最良の医療を提供し続けるために

将来にわたって多岐にわたる専門分野において最良の医療を提供し続けるために欠かせない人材育成は、本教室がもっとも誇ることのできる伝統として根付いています。卒後の一定期間は総合的な知識、技量が研修できるように広い分野の指導医を揃えています。指導医は医療技術・知識を教えることに加え、指導医自らが最新・最先端の診療に携わることも重要です。さらなる高みを目指し、強い意志を持って常に自己研鑽をやりぬく指導医の育成に努めています。

若い医師には患者さんに対する思いやりや礼儀を大切にするように指導します。患者さんの信頼を得る基本的な姿勢をしっかりと身につけさせるとともに多職種と連携し、プロフェッショナリズムを持って府民に対する責務を果たすよう教育します。これらの方針のもと、全国から若い医師が集まってきています。

京都府立医科大学整形外科学教室で臨床を学び、診療に参加していることを教室員が心から誇れるような教室作りに邁進いたします。

世界トップレベルの研究:未来に向けて医学・医療の発展に寄与するために

世界に発信できる医療水準を維持することも重要です。本教室には京都府下を中心に50以上の関連病院があり、結集すると巨大なレジストリーを作ることが可能です。この規模で臨床研究を行うことで、京都府民、しいては国民の健康寿命に寄与していきます。

さらに未来を見据えた基礎研究として、ゲノム編集技術を用いた組織再生に関する研究を中心に分子生物学やティッシュエンジニアリングを駆使して未来に向けた研究を行っています。科研費などの競争的研究資金の獲得も多く世界最先端の成果を発信する研究体制を築いています。

診療、人材育成そして研究すべてに全力で取り組み、現在そして将来の整形外科医学・医療に貢献してまいります。

令和2年2月1日

京都府立医科大学大学院 運動器機能再生外科学(整形外科)教授  高橋 謙治