チームドクター活動

チームドクター活動

プロチームの紹介とチームドクターの役割  原 邦夫

京都サンガとは現役時に患者だった設立時のスタッフからチームドクターの依頼をうけました。1993年当初は完全なボランティアから始め、以来約30年になります。1996年にJリーグに昇格し、今年は4度目のJ1復帰を目指しています。

伊賀FCくの一は三重県のチームです。私は1989年から日本女子代表(なでしこジャパン2011年ドイツW杯優勝)のチームドクターをしており、1993年から女子日本代表チームの監督が伊賀を併任する際に要請がありました。1995年には現在でも唯一のリーグ戦無敗での全勝優勝を成し遂げた名門チームです。

ハンナリーズは2009年にBJリーグが国内最初のプロリーグとして設立され、プロとしてメディカルを整えたいとチーム設立時に依頼がありました。2016年からはB1リーグへ移行しましたが、組織体制は不十分で今年度からの新社長が変革を模索しています。

チーム設立からメディカル部門の構築を依頼されることは選手、スタッフとの信頼関係が重要なため大変ありがたいです。しかし、チームドクターという役割は日本の医療制度ではボランティア的な面があり不安定な領域で、資格も確立されていません。我々が管理している各チームへ帯同をお願いしているドクターはいずれも専門医に限っています。整形外科の一般診療が十分にできる基礎知識の上にスポーツ外傷の対応、正確なドーピングの知識がないと競技選手は扱えず、選手との信頼関係の構築は成り立たちません。スポーツに興味があるという興味本位だけでは決して行える部門ではなく、まずは整形外科医としての能力を十分に習得することが重要と考えています。

2007年にプレーオフに勝ち3度目のJ 1昇格を決めた笑顔のロッカー

京都サンガF.C.  渥美 覚

京都サンガF.C.のチームドクターの活動内容は公式戦やキャンプの帯同、傷害・疾病への対応、シーズン前や新加入選手のメディカルチェック、Jリーグドクター会議、アンチドーピング、COVID-19対策など多岐にわたります。

公式戦の帯同業務は控室で出場選手の状態をチェックすることから始まります。試合中はチームスタッフとしてベンチに入り、選手の負傷やコンディション低下を迅速かつ的確に判断するために接触プレーなどの受傷機転を見逃さないことに集中します。選手が負傷をした場合にはピッチサイドに駆け寄り、応急処置やプレー継続可否の判断をします。脳震盪が疑われる場合は3分ルールや追加交代ルールなどの適応の判断も行います。日本アンチドーピング機構によるドーピング検査の際はスタッフとして選手の検査に立ち会います。アウェイゲームやキャンプでは宿泊・移動をともにするため、時には内科疾患への対応も必要となります。2020年からはCOVID-19感染予防策の新たな業務も加わり、Jリーグ・全国のチームドクターとも情報共有をおこない感染拡大防止をしながらの活動をおこなっています。

チームの一員として得点や勝利の喜びを感じることも楽しみのひとつですが、復帰した選手が活躍する姿をベンチから見ることができた時の高揚感はチームドクターの醍醐味です。京都唯一のプロサッカーチームである京都サンガF.C.がさらに発展し、選手も成長し羽ばたけるように、これからも微力ながらチームをサポートして参ります。

伊賀FCくノ一三重  金村 斉

主な業務は、ホームゲームにおける試合の帯同、試合中の外傷・内科的疾患に対する救急対応、トレーナーと連携した試合前後のメディカルチェックを中心に行います。定期的に選手のコンディションがトレーナーから送付され、情報共有を行います。

ホームゲームは主に、三重県の伊賀市または鈴鹿市のスタジアムで行われるため、救急処置が必要な場合は近隣の救急病院に、下肢の外傷等で手術が必要な場合は、鞍馬口医療センターを受診して頂き加療を行います。外傷が生じた場合は、早期の診断・治療をスムーズに行えるよう努めています。

現在は原邦夫先生(鞍馬口医療センター)を中心に4人のドクターが担当しています。ホームスタジアムはやや遠方ですが、なるべくきめ細やかな対応ができるように心がけています。非常に地元の声援が熱く、女子サッカー選手はもちろんのこと、地域の盛り上がりを少しでもサポートしていけたらと思っています。

京都ハンナリーズ  井上 敦夫

京都ハンナリーズは現在B.LEAGUE 1部に所属するプロバスケットボールチームです。2009年-2010年シーズンにbjリーグというプロバスケットリーグで誕生し、12シーズン目になります。日本にはもともとNBLというもう一つのプロリーグが存在していましたが、2016年のリーグ統一後も変わらず1部で活躍しているチームです。

われわれはチーム結成当初から原邦夫先生(京都鞍馬口医療センター)を中心にチームのメディカルサポートをしております。私も発足当初から帯同ドクターとしてホームゲームを担当しており、主な仕事は試合前後のメディカルチェックや試合中の外傷治療になります。身長2mを超えるような外国人選手の診察は普段では経験することのない貴重な経験です。国内外一流のプロのアスリートの診療に携わることは重大な責任を伴うことですが、われわれもプロ意識を持ちながら従事し、日々の臨床とはまた違った仕事として楽しく参加しています。

現在4人の先生達と交代でサポートしていますが、バスケットボールやスポーツ医学に興味のある若手先生達と共に、メディカルサポートできるのを楽しみに待っております。