専門クリニックのご案内

骨・軟部腫瘍クリニック

はじめに

骨・軟部腫瘍とは?

骨・軟部腫瘍は、骨(ほね)から発生する骨腫瘍と筋肉・脂肪・神経・血管などの軟部(なんぶ)組織から発生する軟部腫瘍の総称です。骨・軟部腫瘍の多くは、良性腫瘍です。しかし、単なる筋肉痛やしこりと感じられたものが、まれに悪性腫瘍であることもあります。そのため、骨・軟部腫瘍の診断や治療には、高い専門性が必要とされています。

代表的疾患

骨肉腫

10歳代の成長期に膝関節や肩関節の周囲に多く発生する悪性度の高い骨腫瘍で、100万人に1-2人の割合で発症すると言われています。40年前は不知の病とされていましたが、現在では新しい薬が登場したことや手術の技術が向上したことで、治療成績は飛躍的に向上しています。

軟部肉腫

皮膚、脂肪、筋肉、血管、神経、滑膜など軟らかい組織に発生する悪性腫瘍です。四肢にかぎらず体幹部にも生じることがあり、痛みを伴わずに大きくなることもあります。治療は腫瘍組織(細胞の種類)によって異なるため、早期の正確な診断が大切です。

転移性骨腫瘍

内蔵などの原発腫瘍から骨に転移して発生する腫瘍です。骨に転移する腫瘍には、肺癌、前立腺癌、腎癌、乳癌、甲状腺癌などがあります。転移することで骨の強度が弱くなり自然と骨折する場合もあります。したがって、根治的な目的だけでなく、骨折を予防することや疼痛を緩和する目的で手術を行うこともあります。


診療について

診療の特色

われわれは京都府がん拠点病院の大学病院としての特色を活かし、骨・軟部腫瘍に対して当科を中心に小児科、放射線科、外科、泌尿器科など多くの診療科と連携をとり、患者さまに最善の治療が行えるよう全力で取り組んでいます。また疼痛・緩和医療部とも協力し、「がん」によって生じる患者さまの痛みや不安など様々な問題にもきめ細かく対応しています。

骨・軟部腫瘍の診断

骨・軟部腫瘍の組織型(細胞の種類)は多く存在する一方で、頻度が少ないため、その診断には、整形外科の中でも高い専門性が要求されます。当院では骨・軟部腫瘍の専門医が診察や、レントゲン、超音波検査、MRI、核医学検査(PET)など最新の画像検査を用いて診断を進めます。最終的には組織を採取し病理学的診断をつけますが、腫瘍の性質や部位によっては小さな針で腫瘍組織の一部を採取することで少ない侵襲で正確に診断できるような工夫もしています。

治療について

悪性の骨・軟部腫瘍の治療は、抗がん剤治療、手術、放射線治療を中心に行います。抗がん剤は、原発の腫瘍を小さくすることだけではなく、全身にちらばっている小さな腫瘍に対する治療を目的としています。手術による腫瘍切除後に生じた組織の欠損に対しては、人工の関節や、自分の骨や神経・血管・皮膚・筋などを移植することもあります。当院では、腫瘍が存在する骨を切除後に液体窒素で処理し、体内にもどすことで患肢の機能を温存できる手術も行っています。取りきれない腫瘍がある場合には、放射線治療を追加することもあります。腫瘍の種類や部位、進行の程度によって治療法は様々ですので、まずは御相談ください。