研究のご紹介

股関節リサーチ

股関節疾患の治療、予防のための研究を紹介します。

研究概要

近年の股関節診療は著しく進歩していますが、その一方で課題も多く残っています。「治りたい」と願っている患者さんに、最高の医療を提供することを目指して、股関節グループでは臨床と並行して研究にも取り組んでいます。

蓄積された膨大な診療情報から,普遍的な原理原則を見いだす

近年の股関節診療では、検査の進歩によって早期診断が可能となり、低侵襲な治療によって早期社会復帰が可能となってきています。しかし、病態や治療効果は、短期成績だけでは十分な評価とは言えません。われわれは1949年開講の伝統を活かして、今までに蓄積した膨大なデータから普遍的な原理原則を導き出す研究を進めています。

先進的な取り組み

股関節の疾患には予防法や根本的な治療法が未だ確立されていないものがあり、新しい先進的な取り組みが必要です。われわれは特発性大腿骨頭壊死症を中心として臨床研究はもちろん、細胞や動物モデルを用いた基礎研究を積み重ねています。MRIを用いた早期診断や骨内の血流に着目した新しい評価方法、新しい予防方法を世界に先駆けて報告しています(下図)。

集学的な研究体制

世界の基準となる治療体系を確立するためには、個々の施設や診療科にとらわれず、全国規模の集学的な研究が望まれます。われわれは厚生労働省の難治性疾患政策研究事業や、特発性大腿骨頭壊死症および変形性股関節症のガイドラインの策定などに参画しており、広い視野から疾患の克服に向けた取り組みを進めています(下図)。

研究成果の普及

研究で得られた成果を、英語論文として世界に向けて発信しています。また、全国の股関節診療の指導的立場にある先生方と協力して多くの成書を刊行し、わが国における股関節診療の適正な知識の整理と普及を担っています。

主な業績

著書
  • 股関節学(久保俊一 編著)、金芳堂、2014.3.1.
  • 人工股関節全置換術(菅野伸彦、久保俊一編集)、金芳堂、2012.1.10.
  • 特発性大腿骨頭壊死症(久保俊一、菅野伸彦編)、金芳堂、2010.10.1.
  • 変形性股関節症 基本とUP TO DATE(久保俊一、杉山 肇編)、南江堂、2010.6.10.
論文
  • Alcohol-associated osteonecrosis of the femoral head with subsequent development in the contralateral hip: A report of two cases. Saito M, Ueshima K, Ishida M, Hayashi S, Ikegami A, Oda R, Taniguchi D, Fujiwara H, Kubo T. J Orthop Sci. 21, 870-874, 2016.
  • Clinical and basic research on steroid-induced osteonecrosis of the femoral head in Japan.
    Kubo T, Ueshima K, Saito M, Ishida M, Arai Y, Fujiwara H. J Orthop Sci, 21, 407-413, 2016.
  • Evaluation of femoral perfusion in a rabbit model of steroid-induced osteonecrosis by dynamic contrast-enhanced MRI with a high magnetic field MRI system. Hayashi S, Fujioka M, Ikoma K, Saito M, Ueshima K, Ishida M, Kuribayashi M, Ikegami A, Mazda O, Kubo T. J Magn Reson Imaging.41, 935-940, 2015.
  • Femoral perfusion after pulsed electromagnetic field stimulation in a steroid-induced osteonecrosis model. Ikegami A, Ueshima K, Saito M, Ikoma K, Fujioka M, Hayashi S, Ishida M, Fujiwara H, Mazda O, Kubo T. Bioelectromagnetics. 35, 349-357, 2015.
  • Corticosteroid administration within 2 weeks after renal transplantation affects the incidence of femoral head osteonecrosis. Saito M, Ueshima K, Fujioka M, Ishida M, Goto T, Arai Y, Ikoma K, Fujiwara H, Fukushima W, Kubo T. Acta Orthop. 85, 266-270, 2014.