研究のご紹介

リウマチリサーチ

リウマチ診療における変形や機能障害、診断の取り組みを紹介します。

研究概要

リウマチグループでは、外来診療にいかすことを念頭に置いた臨床研究を中心に行っています。リウマチ診療に必要な知識と技術は、外科治療だけにとどまらず、薬物療法と合併症への対応の両方が必要です。これらを効率よく習得するために、毎月の整形外科・膠原病内科合同カンファレンスや,研究会の開催などの機会を多く設けて十分な卒後教育が受けられるよう配慮しています。また、講師の小田 良が厚生労働省の厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患政策研究事業)「強直性脊椎炎に代表される脊椎関節炎及び類縁疾患の医療水準ならびに患者QOL向上に資する大規模多施設研究」の研究分担者として、診療ガイドラインの普及や診断・治療の標準化を通して、患者さんのQOL向上を目指した取り組みに参画しています。

診断

関節リウマチの薬物療法の進歩に伴い、早期診断、正確な疾患活動性評価が重要となってきております。以前から造影MRIのMIP画像を診療と研究に役立てています。最近は、リングゲージをPIP関節の腫脹を簡便に正確に測定するアイテムとして利用しており、客観的なデータとともに論文に投稿しています。

病態

2004年より、手指の変形に関するコホート研究を開始しています。スワンネック変形やボタン穴変形、尺側偏位などの特徴的な変形と手指機能の解析を行っています。現在、研究期間は10年を超え、その結果から臨床的に有用な情報を発信中です。リウマチがよくコントロールされている症例でも変形と機能障害は進行することや、変形と機能障害の進行過程の詳細な検討から適切な手術時期について報告しています。


アメリカAAOSでの発表

関節病学会での受賞
治療

手術に関する臨床研究を中心に行っております。Sauve-Kapandji法による手関節形成術、人工指関節置換術、人工肘関節置換術の治療効果について解析し、学会発表を行っています。

また、当科では関節リウマチの前足部変形に対して長年からスワンソンクレイトン法を行っており、この長期成績をまとめました。今後、前足部変形に対する術式を発展させていきます。

以上のようにリウマチグループでは、主要学会において多くの発表を行い、論文を作成しています。リウマチは疫学、病態、診断、治療など様々な研究テーマが目白押しです。なかでも治療は、薬物療法や局所療法、装具療法などの保存療法や手術療法、さらにリハビリテーションなど、多岐にわたります。臨床と研究においてまだまだおもしろい分野がたくさんあります。一人でも多くの仲間を待ち望んでおります。

当科で取り組んでいる関節機能再建手術は、本邦でも最先端かつ積極的な手法で、患者さんの身体機能や日常生活の改善にあたっています。

これらの機能再建手術の手術成績などの調査研究は、課題名「関節リウマチ症例に対する関節機能再建手術の術後成績の調査」で当院倫理審査委員会から許可を受けております。(課題番号:ERB-C-818)

研究時で診療記録からのデータを用いますが、研究のみを目的として別にデータを採取することはなく、手術などの診療の一環で記録された情報のみを抽出します。そのため、お申し出がない限り個人情報を削除した診療記録のデータを、研究用に使用させていただいております。

結果の公表に当たっては、個人情報等の個人の特定につながる情報は一切破棄した状態で行われ、患者さんに不利益を生じさせないよう配慮いたします。

これらの上で、ご自身のデータを研究用に用いないようご希望の場合、下記までご連絡を頂ければ幸いです。その際でも、日常診療には一切の不利益は生じません。
連絡先:京都府立医大大学院 運動器機能再生外科学(整形外科)
医局: TEL 075-251-5549 9:00~16:00

現在行っている研究・今後の研究

  • 関節リウマチに対するリハビリテーションの効果判定法の検討
  • 整形外科疾患における漢方薬治療の有用性
  • 関節リウマチにおける単純X線を用いた手足浮腫と疾患活動性の評価
  • 関節リウマチにおける手足連続MIP撮影の有用性
  • 関節リウマチにおける機能障害を反映した統合性疾患活動性指標の検討
  • 関節リウマチを含む関節炎に対する関節機能再建手術の成績の検討

主な業績

著書
知っておくべき整形外科医の関節リウマチ診療ABC 久保俊一編 文光堂, 2016
原著論文
  • Comprehensive assessment of alterations in hand deformities over 11 years in patients with rheumatoid arthritis using cluster analysis and analysis of covariance
    Toyama S, Tokunaga D, Tsuchida S, Kushida R, Oda R, Kawahito Y, Takahashi K. Arthritis Res Ther. 23(1):66. 2021
  • A modified Terrono classification for Type 1 thumb deformity in rheumatoid arthritis: a cross-sectional analysis.
    Toyama S, Oda R, Asada M, Nakamura S, Ohara M, Tokunaga D, Mikami Y.
    J Hand Surg Eur Vol. 45: 187-192; 2020
  • Foot orthosis treatment improves physical activity but not muscle quantity in patients with concurrent rheumatoid arthritis and sarcopenia.
    Hishikawa N, Toyama S, Sawada K, Kawasaki T, Ohashi S, Ikoma K, Tokunaga D, Mikami Y.
    Mod Rheumatol. 2020 (Epub ahead of print)
  • A New Approach for the Correction of Type I Thumb Deformity Owing to Rheumatoid Arthritis.
    Oda R, Toyama S, Fujiwara H.
    J Hand Surg Global Online. 2: 55-60; 2020
  • Effectiveness and Safety of Chronic Hepatitis C Treatment with Direct-acting Antivirals in Patients with Rheumatic Diseases: A Case-series.
    Kida T, Umemura A, Kaneshita S, Sagawa R, Inoue T, Toyama S, Wada M, Kohno M, Oda R, Inaba T, Itoh Y, Kawahito Y.
    Mod Rheumatol. 30: 1009-1015; 2019
  • A new assessment tool for ulnar drift in patients with rheumatoid arthritis using pathophysiological parameters of the metacarpophalangeal joint.
    Toyama S. Oda R. Tokunaga D. Taniguchi D. Nakamura S, Asada M, Fujiwara H, Kubo T.
    Mod Rheumatol. 29: 113-118; 2018
  • Five-decade-delayed closed flexor tendon rupture due to Galeazzi dislocation fracture associated with Behçet syndrome: A case report.
    Ohara M, Oda R, Toyama S, Katsuyama Y, Fujiwara H, Kubo T.
    Int J Surg Case Rep. 48: 87-91; 2018