関連病院紹介

西陣病院

病院の紹介

当院の歴史は昭和9年京都府社会事業協会の事業として、大報恩寺(通称、千本釈迦堂)の境内に西陣診療所が開設されたことに始まります。昭和11年に併設された西陣救療所と西陣診療所が昭和25年に合併し、現在の西陣病院という名称に改称されました。病床数300床の中規模病院です。当院の正式名称「社会福祉法人 京都社会事業財団西陣病院」の通り社会福祉法人の病院であり生活困窮者に寄り添う病院となっています。昭和51年に福祉事業課が新設され本格的な医療福祉事業が開始されましたが病院機能評価においても高く評価いただいている部門になります。入退院支援室と連携して退院に向けて介護保険の申請や自宅訪問や住宅改修などきめ細かく対応してくれる体制が構築されています。帰宅してから問題ないよう十分準備が整ってから退院されることも多く結果的に入院期間が長くなることも少なくありません。「地域に密着した良質な医療を提供する」ことが基本方針であり京都市北西部の中核的医療機関としての役割を担っています。北野天満宮近くに位置しますがバス通りに面しておらずまた今出川通りからも千本通りからも病院が見えず最初は分かりにくいですが大学からも近く行き来しやすい場所にあると思います。

大病院は国策に従ってDPC(医療費の定額支払い制度、包括医療)を取り入れた病院も多いです。DPC病院ではその特性上手術などを行った患者さんになるべく早く退院していただき効率を高める必要性があります。例えば若い先生が受け持つことが多い大腿骨近位部骨折の手術(当院では手術件数の約2割を占めています)を行った場合、DPC病院では早期に回復期リハビリ病院などの転院先を探すことが多いと思います。その点当院は入院から術後しばらくは急性期病棟で過ごしていただき続いて自宅に退院できる方は地域包括ケア病棟(60日間まで入院可能)に転ベッドしていただき、種々の事情でなかなか退院の目途が立たない方は障害者病棟に転ベッドしていただくのが一般的な流れになっています。このように当院はDPC病院ではないこともあり入院されてから自宅または老健施設などに転院されるまで一貫して関われることが特徴と言えます。病院経営も難しく在院日数の縛りもありますが整形外科は必ずしも早期退院を求められる立ち位置にはなく余裕をもって患者さんの治療に当たることができると思います。

整形外科の特色

高齢者が多く脊椎症、変形性関節症や骨粗鬆症を基盤にした骨折が多いです。加えて血液透析患者さんが400名弱おられ血液透析の合併症である手根管症候群、透析脊椎症および足部などの壊疽に対する手術があることが特徴と言えます。われわれ整形外科医は術後合併症をいかに防ぐか奮闘している側面もありますが血液透析患者は術後感染、易出血性、創傷治癒遷延や内科的合併症が通常より生じやすくよりきめ細かい対応が必要になります。当院で血液透析患者さんの手術を経験すれば患者さんの管理能力が高まると思います。

手術件数は年間450件ほどで外傷を除き脊椎、末梢神経および人工関節を3本柱にするべく日々研鑚しております。

脊椎は当院の整形外科で最も御評価いただいている領域です。脊椎指導医の常勤医を要に、大学からも出張いただいており新しい術式にも積極的取り組んでいます。最近では骨粗鬆性椎体骨折に対するBKPなどの椎体形成術や腰部脊柱管狭窄症、腰椎不安定症などに対するOLIFという側方からの低侵襲椎体間固定術にも取り込んでいます。また、ナビゲーションシステムを導入しておりナビゲーション下の手術も行っております。手術の安全性を高めるために神経機能モニタリングを導入し多くの脊椎手術で用いております。

末梢神経疾患である手根管症候群は2003年に内視鏡下手術に術式を変更して20年になります。年間50-60件行っており今日まで約700件の関節鏡下手根管開放術を行ってきました。これは京都で屈指の実績です。当院の手根管症候群治療の最大の特徴は電気生理学的検査を行って重症度を評価し、術後も約1年間神経伝導検査を行い客観的に術後成績を評価していることです。神経伝導検査のできる病院が限られているなか、当院では臨床検査技師が神経伝導検査を担ってくれており恵まれた環境にあります。今までのデータが蓄積されておりその結果に基づき的確に説明を行うことができていると自負しております。近隣の開業医の先生方からも手根管症候群なら西陣病院にと多数の紹介をいただいており、手術の約7割は近隣の医療機関からの紹介によるものです。

人工関節では徐々にナビゲーションが導入されるようになってきています。当院では2020年から膝関節および股関節ともに簡易ナビゲーションを導入しインプラントの正確な設置に努めております。当院では側方進入で人工股関節全置換術を行っていますが術後外転枕は使わず翌日から歩行器歩行を開始しています。人工股関節全置換術は人工膝関節全置換術以上に除痛効果に優れており患者の満足度も高く、今後症例を増やしていきたいと考えています。

300床の病床のうち整形外科の入院患者数は50-60名です。医局は内科、外科、泌尿器科、麻酔科、皮膚科、眼科および放射線科の常勤医師40名弱が一堂に会しており垣根なく相談しやすく基礎疾患や合併症のある場合でも他科の協力を得て安全に手術治療を行える環境にあります。

診療・指導体制

牧之段 淳
役職 副院長兼整形外科主任部長
卒年、卒業大学 平成3年金沢大学卒
専門領域 末梢神経、人工関節
趣味、特技 テニス 大学では陸上部に所属
北中 重行
役職 部長
卒年、卒業大学 平成15年関西医科大学卒
専門領域 脊椎
趣味、特技 大学ではスキー部に所属
森 裕貴
役職 医長
卒年、卒業大学 平成23年京都府立医科大学卒
専門領域 腫瘍 
趣味、特技 草野球 大学では野球部に所属
中村 恵
役職 医員
卒年、卒業大学 平成29年京都府立医科大学卒
趣味、特技 スポーツ観戦など 大学ではラグビー部に所属
診療・指導体制の概要

外来は新患・旧患の2診制で週に2-3回担当します。整形外科外来に専用の超音波検査装置あり(2022年4月新規購入)外来中に患者さんに見ていただきながら検査や処置を行うことができるため説得力があり欠かせない検査となってきています。

毎週木曜日に整形外科カンファレンスがあり、隔週火曜日にリハビリテーションカンファレンスがあります。

手術日は水・金曜日は午前・午後の1日枠と火曜日は午前が定期枠となっています。

休暇は夏休みは3日間、冬季休暇は12月29日から1月3日まで、有給休暇は年5日消化しないといけないことになっています。学会出張については年2回は病院から学会参加費と宿泊費・交通費が支給されます。

月に2-3回外科系当直(内科医師と二名で当直)が当たります。研修日は大学での研究など必要に応じ取得可能です。

当科の主な手術内容(特色)と件数

2021年度の手術実績は456例でした。

  1. 骨折観血的手術 120例
  2. 脊椎手術 111例(頚椎26例、胸椎4例、腰椎83例)
  3. 末梢神経  57例 (うち関節鏡下手根管開放術54例)
  4. 人工関節 27例 (膝関節16例、股関節11例)
  5. 人工骨頭挿入術 34例
  6. 腫瘍 18例

主な業績

  1. 血液透析患者における異なる2つの手根管開放術後10年目の再発率
    第93回日本整形外科学会学術総会 2020.6.10 オンライン
  2. 血液透析患者の手根管開放術後再発ー鏡視下手根管開放術と小皮切での手根管開放術との比較検討―
    第92回日本整形外科学会学術総会 2019.5.9 横浜
  3. PPSを併用したLIFの臨床成績 変性疾患と透析性脊椎症の比較検討
    第49回日本脊椎脊髄病学会2020.9.8神戸
  4. 腫瘍用人工膝関節周囲感染に対して大腿骨インプラントのみの二期的再置換術で感染の沈静化が得られた1例
    第53回日本整形外科学会 骨・軟部腫瘍学術集会2020.9.11-30オンライン
  5. 肘部管症候群における第一背側骨間筋から導出した複合筋活動電位での振幅の有用性
    第3回日本リハビリテーション医学会秋季学術集会 静岡 2019.11.17.
  6. 腰椎変性すべり症における3D segmental motionと椎間関節水腫の関連性
    第29日本腰痛学会2021.10.22 東京
  7. 頚椎化膿性脊椎炎に対して後方固定術を施行した治療経験
    第23回日本低侵襲脊椎外科学会学術集会2020.9.24 神戸
  8. A case of multiple retroperitoneal metastases of myxoid liposarcoma that was resectable by the effects of trabectedin and eribulin
    13TH APMSTS MEETING 2021.4.21-23 Okayama,Japan
  9. 大腿部痛を主訴に整形外科を受診した閉鎖孔ヘルニアの1例
    第114回京都整形外科懇話会 2022.2.19. 京都

若手医師の声

中村 恵 平成29年度卒 京都府立医科大学卒 後期専攻医

2021年10月より西陣病院で勤務させていただいており、3名の先輩医師のもとで日々ご指導ご鞭撻のほどいただいております。病院の特色としては、地域に密着した病院であり、また慢性期病棟、地域包括病棟もあることから最初から最後までを診察することができる病院です。また、コメディカルの方々も非常に協力的であり、大変働きやすい環境と感じます。またこれからも日々研鑽させていただきます。ありがとうございます。

岩井義之 平成29年度卒 滋賀医科大学卒 後期専攻医

2020年の4月から2021年9月まで、1年半勤めておりました。地域医療に従事し、皆様のお力となれるよう研鑽を重ねております。診療についてですが、DPC病院ではないため、入院から退院まで、手術加療やリハビリテーション治療から、家屋や退院施設の調整まで、一人一人に寄り添った全人的な医療を学べます。また透析病院でもあり、骨粗鬆症患者様がたくさんいらっしゃいます。他科の先生方との連携が取りやすく、透析で全身状態が芳しくない方もしっかりとしたバックアップの中加療し、ご高齢の方を中心とした骨折の加療を学べます。